ニュースの概要
青森県内で冬型の気圧配置が強まるなか、東北自動車道の青森インターチェンジで高速道路除雪隊の出動式が開かれた。NEXCO東日本青森管理事務所は、青森自動車道と東北自動車道の約70キロを受け持ち、11月から翌年4月末までの約半年間、最大100人が24時間体制で除雪にあたる。雪を取り除くだけでなく、気温や路面の状態を見ながら凍結防止剤をまく作業も重ねて、凍結による事故や通行止めを減らす狙いである。弘前市でも除雪隊の結団式が行われ、地域ぐるみで冬を迎える準備が進んでいる。
引用元: NEXCO東日本青森管理事務所、最大100人・24時間体制で高速道路を除雪(ATV NEWS)
分析・見解
除雪は雪を除く作業ではなく、路面を守る仕事
除雪と聞くと、積もった雪を押しのける作業を思い浮かべる人が多い。しかし高速道路の現場で重いのは、むしろ雪が降る前後の判断である。今回のニュースでも、気温や路面の状況を確かめながら凍結防止剤をまく作業が柱に据えられている。
雪が少なくても、気温が下がれば路面は凍る。高速道路は速度が高いため、わずかな凍結でもスリップ事故に直結する。除雪隊の仕事は、雪を片づけることよりも、車が安全に走れる路面を保ち続けることだと捉えたほうが実態に近い。
約70キロに最大100人という数字をどう読むか
約70キロの区間に最大100人という体制は、単純に割ると1キロあたり1.4人ほどになる。ただし24時間体制では、これを交代制で回す。昼夜の二班や三班に分かれれば、ある瞬間に路上へ出られる人数は数十人規模にとどまる。除雪トラックや凍結防止剤の散布車、監視を担う人員も含まれるため、実際の余裕は見た目ほど大きくない。
11月から4月末まで約半年も続く点も重い。人は疲れ、機械は傷む。寒冷地の除雪が人手と整備の両面で消耗戦になる理由はここにある。
人手不足の時代に、冬の備えを毎年維持する難しさ
除雪の担い手は、全国で高齢化と人手不足が進んでいる。大型の特殊車両を動かせる運転手は育成に時間がかかり、雪の降る日にしか仕事がない年も出る。降雪量が少ない冬は収入が読めず、事業者にとっては固定費だけが残るという構図になる。
一方で、降るときは短時間でまとまって降る。備えを減らした年に限って大雪になれば、通行止めが長引き、物流にも影響する。人員を絞るほど、ひとたびの想定外が大きな損失へ変わる。出動式や結団式は、士気を高めるだけでなく、毎年同じ水準の備えを維持するという意思表示でもある。
見えない半年間の備えが、地域経済の信頼を支える
高速道路が止まらないことは、地域経済にとって目に見えにくい基盤である。農産物や水産物の出荷、通勤、観光、救急搬送が、冬の間も同じ道路に頼っている。道路が安定して使えるという信頼は、企業が拠点を置く判断にも影響する。
今後は、路面温度の計測や降雪予測の精度向上、散布量の自動調整といった技術で、人の経験に頼る部分を補う流れが強まるだろう。ただし最後に現場の勘が必要になる局面は残る。技術で省力化しつつ、人の判断を残す設計が現実的な着地点である。
ビジネスへの影響
物流や出張の計画は、道路の維持力を前提に組み直せる
24時間体制の除雪が続く区間では、短時間の降雪で長く止まる可能性は相対的に低い。ただし完全に止まらない保証はない。冬季の配送計画では、時間に余裕を持たせた日程と、止まったときの代替ルートを最初から用意しておくことが基本になる。
とくに早朝と夜間は路面が冷え込みやすい。運行管理者は、気象予報と道路情報を前日夜と当日朝の二度確認し、出発の可否を決める手順を社内で決めておくとよい。タイヤの点検や冬用装備の確認も、シーズン前に済ませておきたい。
除雪関連事業者は、人材確保と設備投資の見直し時期にある
除雪や融雪設備、機械の事業者にとって、半年にわたる体制維持は受注の安定につながる一方、人手の確保が大きな課題である。運転手の確保には、オフシーズンの仕事を組み合わせて年間の収入を安定させる工夫が有効である。夏場の土木や造園、点検業務との兼業は一つの現実的な手段になる。
設備面では、散布量を自動で調整する装置や、路面状況を遠隔で把握するセンサーの需要が見込める。導入費は小さくないが、人員を増やすより効果が読みやすい場面もある。自社のサービスを、人手不足を補う手段として位置づけ直すと、提案の説得力が増す。