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札幌市は、これまで町内会などの地域が中心になって担ってきた生活道路の排雪を、行政が主体となって進める「公共排雪」へ移す検討に入った。2026年度の冬には、市内の生活道路の約7割を対象に実証実験を行う。目的は、地域ごとの負担の重さやサービスの差を縮めることだ。実験では、対象道路の選び方、排雪の時期、作業の体制、費用の分担、住民への知らせ方などが確かめられるとみられる。一方で、除雪業者や作業車両の確保、限られた予算の使い方といった課題も残る。

引用元: 札幌市、生活道路の約7割で「公共排雪」の実証実験(NHK)

分析・見解

町内会に頼る排雪が、もう回らなくなりつつある

札幌市の生活道路の排雪は、長く町内会が業者と契約し、住民が費用を出し合う形で支えられてきた。主要道路は市が除雪するが、細い生活道路は地域の自助に近い。この仕組みは、住民が元気で町内会に人が集まっているうちは成り立つ。

しかし今は事情が違う。町内会の加入率は下がり、役員は高齢化している。業者との交渉、費用の集金、排雪日の調整は、ほぼ無償の役員が担う。ここが崩れると、道路がそのまま雪の壁になる。今回の実証は、制度の話というより、担い手不足への現実的な手当てとして読むほうが近い。

7割という数字が示す、これまでにない規模感

実証の対象が約7割というのは、試験としては異例に大きい。モデル地区を数か所だけ選ぶ方法なら、条件の良い場所だけで成功してしまう恐れがある。幅の狭い道、坂の多い住宅地、駐車車両の多い地区など、条件の悪い場所を含めて試すほうが、本番に近い結果が出る。

その反面、失敗したときの影響も大きい。排雪が遅れれば救急車やごみ収集車が入れなくなる。市が踏み切ったのは、小さな実験を重ねる余裕がなくなっているからだろう。

費用と公平性、行政が背負う新しい責任

公共排雪になれば、住民の負担は軽くなる。ただ、その費用は税金で賄われる。これまで自分たちで費用を出してきた地域と、そうでない地域との間で、不公平感が出る可能性がある。

似た例として、他の豪雪地帯でも、除雪の担い手が高齢化し、行政が支援や直営を広げる動きが見られる。共通するのは、費用の線引きよりも、作業をいつ誰が判断するかのルール作りが難しいという点だ。札幌市も、どの道を何センチ積もったら排雪するのかという基準を、見える形で示す必要がある。

機械化とデータが、限られた人手を補う

担い手が足りない以上、人を増やすだけでは解決しない。車両の位置情報や積雪量のデータを使って、排雪の順番を決める方法が現実的になる。どの道を先に回れば効率が良いかを数字で示せば、住民への説明もしやすい。

私が注目したいのは、排雪した雪の行き先まで計画に入れるかどうかだ。雪捨て場の距離は、作業時間と燃料費をそのまま左右する。公共排雪は道路の問題であると同時に、雪の物流の問題でもある。

ビジネスへの影響

除雪業者には仕事の量と質の両方が変わる

町内会ごとの小さな契約から、市が束ねる大きな契約に変わる可能性がある。仕事の量は安定しやすい。一方で、入札の条件や、遅れたときの責任の範囲は厳しくなるだろう。大型の排雪車両、運転手、雪捨て場への運搬ルートを確保できる事業者が有利になる。小規模な業者は、共同で受注する体制を早めに考えておきたい。

不動産や施設の管理会社が今から見直すこと

生活道路の排雪が公共に移ると、マンションや店舗の前の道路事情が変わる。敷地内の除雪は引き続き所有者の責任なので、市の排雪日と自社の作業日をどう合わせるかが課題になる。排雪の予定が公表されたら、駐車場の利用制限や、従業員への通知手順を決めておくと混乱を避けられる。雪による事故や破損への備えとして、保険の補償範囲も確認しておきたい。

機器やデータの事業者には新しい需要が生まれる

排雪の順番を決める位置情報の仕組みや、融雪設備、省人化の機械には追い風になる。市が実証で課題を洗い出せば、そこが製品を売り込む入り口になる。ただし、自治体の予算は年度単位で動くため、早めに提案を出すことが重要だ。

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