ニュースの概要

エバーブルーテクノロジーズが、自動走行に対応した除雪ドローン「SRD-F11A」の予約受付を始めた。ドローンという名前だが、空を飛ぶ機体ではなく、地上を自分で走りながら雪を押しのける無人の除雪機である。あらかじめ決めた経路をたどって作業を進める仕組みで、人が雪の中で機械を操る負担を減らすことを狙う。雪国では除雪を担う人の高齢化と減少が続いており、冬の暮らしを支える作業をどう維持するかが課題になっている。今回の予約開始は、無人除雪が試験段階から購入できる商品へ一歩進んだことを意味する。ここでは、この動きが何を変えうるのかを整理する。

引用元: エバーブルーテクノロジーズ、自動走行対応の除雪ドローン「SRD-F11A」予約受付を開始(ドローンジャーナル)

分析・見解

空を飛ばない「ドローン」が除雪の担い手不足に効く理由

除雪の現場で最も深刻なのは、機械の性能ではなく、動かす人が足りないことだ。オペレーター(=機械の運転者)は高齢化が進み、早朝や深夜の出動も多いため、若い人が入りにくい。自動走行の除雪機は、この人手の問題に正面から答える機械である。

ただし、導入すれば人が要らなくなるわけではない。見守る人、機械を移動させる人、故障時に対応する人は残る。一人の作業員が複数台を見守れるようになれば、同じ人数で守れる範囲は広がる。ここに価値がある。

雪の質と地面の状態という、自動運転の難所

自動走行といえば道路を走る自動車を思い浮かべがちだが、除雪は条件がまったく違う。新雪、湿った重い雪、固く凍った雪では、押す力も進み方も変わる。雪が積もると白線や縁石が隠れ、位置を確かめる目印が消える。衛星による測位(=人工衛星で自分の位置を知る仕組み)は、建物や木の陰で精度が落ちることもある。

この点で、駐車場や工場の敷地、太陽光発電所の構内のように、範囲が限られて障害物が少ない場所は、自動化に向く。公道の除雪は交通や歩行者との関係が複雑で、当面は人の運転が中心だろう。まず敷地内から広がる、という順序になる可能性が高い。

農業機械の自動化が示す、普及までの道筋

似た事例として、田んぼで使う自動運転のトラクターがある。当初は価格が高く、一部の大規模農家だけが使っていた。その後、位置の精度が上がり、価格が下がり、後付けの装置も出て、少しずつ広がった。除雪も同じ道をたどるとみられる。最初に買うのは、人手不足が切実で、予算を動かせる事業者や自治体である。

もう一つ見落とせないのは、除雪が年に数か月しか使われない点だ。農業機械は春から秋まで働くが、除雪機は雪が降らない時期は倉庫で眠る。稼働日数が少なければ、購入費を回収しにくい。夏に別の作業へ使えるかどうかが、普及の速さを左右する。

安全の責任をだれが負うのかという未解決の問い

無人で動く機械が人や物にぶつかったとき、責任はだれにあるのか。製造した会社、持ち主、見守っていた人のどこにあるのかは、事故が起きてから決めるのでは遅い。保険の補償範囲や、作業中に立ち入りを防ぐ柵や警告の方法も、導入前に決めておく必要がある。技術の完成度と同じくらい、この運用の約束事づくりが普及の鍵になる。

ビジネスへの影響

買う前に確かめたい、費用と稼働日数の計算

導入を考える事業者は、まず機械の価格だけでなく、一冬に何日動かせるかを見積もるとよい。人件費の削減額、委託費の節約額、雪の少ない年の稼働減を並べ、何年で元が取れるかを計算する。降雪量は年によって大きく変わるため、平均の年と少雪の年の二通りで試算しておくと判断を誤りにくい。

リースや、冬の間だけの借り入れという選択肢もある。予約受付の段階では、価格や納期、保守体制が確定していない項目も多い。見積もりの際は、故障時の代替機の有無と修理にかかる日数を必ず確認したい。

小さく試し、現場に合う使い方を見つける

最初から全面的に切り替えるのは危険である。敷地の一部、たとえば駐車場の一区画や構内通路で一冬試し、除雪できなかった場所や、人の手直しが必要だった範囲を記録する。その結果をもとに、自動に任せる場所と人が行う場所を分ける。

あわせて、作業員への教育も欠かせない。機械を止める手順、緊急時の連絡先、立ち入り禁止の表示を事前に決めておく。事故の備えとして、保険会社へ無人機械の扱いを相談しておくと安心である。

自治体や管理会社は、共同利用と契約の見直しを

自治体や施設の管理会社は、一台を複数の施設で使い回す方法を検討できる。除雪の委託契約に、無人機械の使用を認める条件や、結果の確認方法を盛り込む時期にも来ている。人手不足は年々進むため、導入の検討を始めるのは早いほうがよい。

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